ストレスとリーキーガット症候群(腸もれ)と炎症の関係とは?
当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べていますが、今回はストレスとリーキーガット症候群(腸もれ)と炎症の関係について書いていきたいと思います。
前回の記事ではストレスによって腸内環境が悪化することで問題になってくるのは、腸管のバリア機能が弱まってしまうことであり、もし腸管のバリア機能が低下してしまうと、免疫系を刺激し、炎症を引き起こす原因になってしまうということについて述べました。
今回は最近、「腸もれ」とも言われて問題になってきている「リーキーガット症候群」と炎症の関係についてです。
「リーキーガット症候群」とは、腸管のバリア機能が弱まることで、細菌や未消化のタンパク質など、様々なものが血液中に入りこむ事態のことです。
以前の記事で取り上げた『腸を鍛えればストレスは消える!』の著者である医学博士の藤田紘一郎氏は、『腸内細菌が家出する日』のなかで、多様な腸内細菌の集まりである腸内フローラは、腸管において病原体の侵入を防ぐバリア機能を働かせているとしています。
また、腸管には3つのバリア機能が備わっているといいます。
- 腸内フローラが有害な菌を排除する
- 腸上皮細胞が結びついて壁になる
- 表面の粘液層が抗菌作用を持つ
(藤田紘一郎『腸内細菌が家出する日』 p163)
リーキーガット症候群を防ぐにはストレス対策が大切
必要以上にストレスを感じることによって、もし腸内環境が悪化したり、腸内細菌のバランスが崩れてしまったりすると、この腸管のバリア機能が低下して、細菌や未消化のタンパク質などの異物の体内への侵入を許してしまいます。
腸粘膜バリア機能の破綻は免疫系の制御異常を引き起こして、炎症性腸疾患、食物アレルギー、経粘膜感染症など、さまざまな疾患の発症の原因となります。近年、患者数が増加し続けている潰瘍性大腸炎やクロ―ン病などの炎症性腸疾患も、腸管のバリア機能が原因の一つとして考えられています。
また最近では、「リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)」も問題になることが多くなってきました。(藤田紘一郎『腸内細菌が家出する日』p163~164)
「リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)」は、からだのなかで炎症を引き起こすことにつながり、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、膠原病などとも関係してくるとされています。
したがって、余計な異物が体内に入りこまないようにするためには、普段から腸内環境を整える習慣をもつことが大変重要になってくるのです。
そしてそのことが、うつやアトピーにも関係してくる慢性炎症を防ぐためのストレス対策になるのです。
ストレスによる腸内細菌叢の変化と炎症の関係とは?
当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べていますが、今回はストレスによる腸内細菌叢の変化と炎症の関係について書いていきたいと思います。
これまでの記事では腸内環境や腸内細菌のバランスを整えることが有効なストレス対策になると共に、副腎の疲労や慢性炎症を防ぐことにもつながるということについて述べてきましたが、実は、ストレスによって腸内環境が悪化することで問題になってくるのは、腸管のバリア機能が弱まってしまうことでもあるのです。
もし腸管のバリア機能が低下してしまうと、免疫系を刺激し、炎症を引き起こす原因にもなってきます。
このあたりのことについては、ロブ・デサール , スーザン・L. パーキンズ氏らによる『マイクロバイオームの世界』(斉藤隆央 訳)で詳しく述べられているので、少し長いですが引用してみたいと思います。
微生物コミュニティの構造の変化は腸にいくつかの影響を及ぼす可能性があるが、なにより重大なのは、炎症にかかわる影響かもしれない。消化管では、腸壁の透過性を上げ、結果的に腸の微生物相の数と種類を調整するうえで決定的な意味をもっている。ストレスは腸膜の透過性を上げ、結果的に腸の微生物相に影響を及ぼす。腸の粘膜は微生物に対するバリアの役目を果たし、免疫細胞の非常に効果的なシステムが、すり抜けようとする微生物を始末していることを思い出してほしい。(ロブ・デサール , スーザン・L. パーキンズ『マイクロバイオームの世界』斉藤隆央 訳 p255)
だが、腸壁の透過性が変わると、この防御システムが破られ、大量の微生物が粘膜層を越え、免疫細胞や中枢神経系の細胞とやりとりしはじめる。その腸の微生物相をプロバイオティクスや抗生剤の投与で変えると、えてして炎症が阻止されて腸膜の透過性が下がり、結果的に宿主動物に起こる反応は神経ストレスの低下を示している。過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(IBD)などの疾患は現在、炎症や、その神経系への影響とからめて解明が進んでいる。こうした疾患や、同じく炎症性の腸疾患であるクローン病が、いまや一般に心理的な問題と併せて診断されるのは無理もない。(ロブ・デサール , スーザン・L. パーキンズ『マイクロバイオームの世界』斉藤隆央 訳 p255)
このようにストレスによる腸内細菌叢(腸内フローラ)の変化は、過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(IBD)などを発症させる可能性を高めると考えられるため、日頃からストレス対策を行うことによって、腸内細菌のバランスを良好に保つことが重要であるように思います。
具体的には野菜や海藻類、発酵食などを多く摂るようにする食生活を心がけることです。また、ストレス解消のために、適度な有酸素運動を行ったり、ゆっくりとした呼吸やマインドフルネス瞑想を行なったりして、副交感神経を優位にすることも、腸の健康につながります。
ゆっくりとした呼吸がストレス対策になる理由
当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べていますが、今回はゆっくりとした呼吸がストレス対策になる理由について書いていきたいと思います。
当ブログではストレス対策として腸内細菌のバランスを整えることをお勧めしていますが、毎日の生活のなかで行うべきストレス対策は「ゆっくりとした呼吸」です。
なぜならゆっくりとした呼吸は心身をリラックスさせ、自律神経のバランスを整えることでストレスを低減してくれるからです。
また呼吸を整える習慣をもてるようになれば、不安や焦り、イライラに対処することもできますので、余計なストレスを溜め込まずに済みます。
しかし近年は、スマートフォンの普及や長時間のデスクワークなどによって、知らないうちに猫背になり、そのことによって呼吸が浅くなってしまっている可能性が考えられます。
もし何だかやる気が出なかったり、妙にイライラしたり不安になったりする場合は、疲労やストレスが原因で呼吸が浅くなってしまっている証拠です。
このことについて帯津良一氏は『ゆっくり呼吸で病気は治る!』のなかで以下のように述べています。
自律神経のバランスを整えるためには、方法はひとつしかありません。呼吸で自分をコントロールすることです。なぜなら、自律神経にコントロールされている生命活動の中で、人の意志が関与できるものは呼吸しかないからです。
たとえば理由もなく不安がわきあがってきたとします。心臓がドキドキし、冷や汗が出てきます。こういうとき、心拍数を自分の意志で下げることができればよいのですが、それは無理です。同じように汗を止めることもできません。しかし、呼吸だけは、意識して深く長くすることが誰にでもできるのです。そのように呼吸を変えることで心が落ち着くこともあるのです。それは、呼吸によって、自律神経のバランスが整ったからにほかなりません。(帯津良一『ゆっくり呼吸で病気は治る!』p20)
(略)現代人の呼吸は、非常に浅くなっています。まさに、口先だけで吸ったり吐いたりしているといえるでしょう。
その原因として考えられるのが、ストレスです。ストレスがかかると、体は緊張した状態になります。体が緊張すれば、交感神経が優位になります。交感神経が優位になると、呼吸は浅く早くなってしまうのです。(帯津良一『ゆっくり呼吸で病気は治る!』p21)
ゆっくりとした呼吸で自律神経のバランスを整える
帯津氏が述べている通り、ストレスが増えすぎることによって、日頃から浅い呼吸になってしまっていることが、自律神経のバランスを乱れさせ、心身の不調を引き起こす原因になってしまっています。
また自律神経のバランスが乱れることが、ストレスをうまく解消できず余計に溜めることにもつながりますし、ストレスを長期的に感じ続けることは、副腎疲労や慢性炎症などの問題にもつながっていきます。
そのため、余計なストレスをなくして心身の健康を取り戻していくためには、普段から何気なく行っている「呼吸」を意識する必要があるのです。
その呼吸を深めるには、胸式呼吸よりも、横隔膜を使った腹式呼吸のほうが良いとされています。そのためお腹のふくらみと縮みを感じながら、吐く息をゆっくり長くして、肩や背中など身体の強張った部分をゆるめていくと、リラックスするのに効果を発揮します。
ちなみに交感神経が優位になっている場合、20秒間を目標にして息を吐き続けると、副交感神経を働かせることができるといいます。
それに加えて、呼吸を深めるのにもう一つ、吸う息と吐く息、気息の流れを意識するということも大事になってきます。
せっかく呼吸を深めようとしていても、仕事や勉強、人間関係のことなど、頭の中が雑念で満たされていては、なかなか呼吸に集中出来ないものです。
そういう時は、今の瞬間に100%気づくようにする「マインドフルネス瞑想」を行いながら呼吸を行うとストレスの低減に効果的です。
活性酸素と酸化ストレス、炎症の関係とは?
当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べていますが、今回は活性酸素と酸化ストレス、炎症の関係について述べていきたいと思います。
活性酸素は私たちが呼吸をするたびに体内で発生しており、殺菌作用やガン細胞の破壊などに利用されています。
しかし必要以上にストレスを受けたり、激しい運動をし過ぎたりすると、活性酸素が過度に発生してしまいます。この「活性酸素」が増えすぎることは、老化や病気の原因になるというについては、よく知られているかもしれませんが、その「活性酸素」とはそもそも何でしょうか?
では、その「フリーラジカル」とは何でしょうか?
この「フリーラジカル」については、宇野克明氏による『ミトコンドリア革命』のなかの説明が的確ですので、引用したいと思います。
〝フリーラジカル〟とは原子核を周回する電子の数に不足が生じ、対をなさなくなってしまった元素を含む物質の総称だ。こうした電子、すなわち〝不対電子〟が常に周囲よりその不足した分の電子を調達しようとする性質を持った反応性の高い不安定物質である。
そのため、フリーラジカルは周囲から電子を強奪し、その時電子を失った周囲の組織は著しく酸化してしまうことになる。
このようなフリーラジカルを含んだ酸化物質の総称を〝活性酸素種(スーパーオキサイド)〟といい、人体を破壊する怖い物質として恐れられている。活性酸素種の個別名称としては〝活性酸素〟〝ヒドロキシルラジカル〟〝過酸化水素〟、そして〝一重項酸素〟が有名だ。
こうした性質、名称を持つフリーラジカルだが、その作用で最も恐ろしいのが細胞核DNAに与える酸化損傷だ。フリーラジカルに与えられた損傷は時に恐ろしい 〝がん〟や酸化に伴って生じる各種疾患の増加、あるいは老化促進の原因すら引きおこす。さらに、こうした減少を放置すれば、その強い酸化反応は連鎖的に 〝電子の強奪〟を繰り返し、更なる状況の悪化さえもたらしてしまうだろう。(宇野克明『ミトコンドリア革命』p61~63)
このようにフリーラジカルは、細胞の老化促進や、がん、さらにはアレルギーなど、様々な病気・疾患の原因になるとされています。
では、なぜそのように老化や病気の原因になるのかといえば、宇野氏が述べているように、フリーラジカルは、「細胞核DNA」に「酸化損傷」を与えるからです。分かりやすく言えば、「悪玉」と呼ばれる活性酸素は、私たちの細胞にサビつきと劣化をもたらすのです。そしてこのことは「酸化ストレス」とも呼ばれています。
酸化ストレスは炎症を引き起こす
また酸化ストレスはサイトカインを暴走させるきっかけにもなり、そのことが「炎症」を引き起こす原因にもなるとされています。
つまり必要以上のストレスは細胞の酸化と劣化をもたらし、さらには「炎症」までも引き起こす原因になってしまうのです。
「炎症」はストレスホルモンを分泌する副腎を疲労させることにもなり、炎症が長引けば「副腎疲労症候群」といった問題も起きてきます。
したがって、病気の予防や老化の促進を防ぐためには「活性酸素」による酸化ストレスを減らすことが重要になってくるのです。
その活性酸素による酸化ストレスを減らすためには、抗酸化作用があるビタミンCやポリフェノール類などを多く摂るようにすることが有効だとされています。また、近頃は悪玉の活性酸素のみを除去する「水素分子(H₂)」が含まれた水素水を飲むことも活性酸素対策として効果的だといわれています。
また、日頃から「マインドフルネス瞑想」などを行うことでストレスの感じ方を変えることも、ストレスによる活性酸素の増大を避けるためには大切だと思われます。
ちなみにうつやアトピーの症状も、心理ストレスによって活性酸素が増大することが深く関係していると思われますので、うつやアトピーを改善していくためにも、ストレス対策は必要になってくると考えられます。
イライラを抑えるためのストレス対策にはマインドフルネス瞑想がオススメ
当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べています。
これまでの記事では主に、これからのストレス対策は、腸の健康を保つことから始まるということについて書いてきましたが、今回は「イライラを抑えるためのストレス対策にはマインドフルネス瞑想がオススメ」であるということについて述べていきたいと思います。
日常生活のなかのストレスで、イライラしたり、モヤモヤしたり、緊張したりしたら、その度にマインドフルネス瞑想を行う習慣をもつことは、ストレス対策としてかなりオススメです。
ストレスによってイライラしている時は、実は身体のなかで、ひそかに炎症が起きていると考えられますし、その炎症を抑えるために副腎からコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌していると考えられます。
しかしイライラしている自分に囚われず、冷静になることは、その炎症を抑えたり、副腎の負担を少なくしたりすることにつながると思われます。
実際、NHKの、体を蝕む「キラーストレス」の特集番組で、マインドフルネス瞑想を行うと、RIPK2という遺伝子の働きが抑制され、ストレスホルモンの「コルチゾールの値」が正常に回復するという研究結果が紹介されていました。
では「マインドフルネス瞑想」の「マインドフルネス」とは一体何でしょうか?
ジャン・チョーズン・ベイズ氏は『「今、ここ」に意識を集中する練習』のなかで、「マインドフルネスとは、自分の体や頭や心のなか、さらに身の回りに起きていることに意識を完全に向けること。批判や判断の加わらない「気づき」」だと定義しています。
また、
すべてをありのままに受け入れて「今、ここ」にいることを学ぶと、人生の不満の多くは消えていき、小さな喜びをたくさん見出せるようになります。マインドフルな「気づき」の瞬間は、誰にも経験があると思います。対象を完全に意識していて、すべてが明らかでまざまざと感じられるような瞬間が、少なくとも一度はあったのではないでしょうか? 何か特別に美しいものを見たときや、激しく胸を打つ出来事を経験したときです。(ジャン・チョーズン・ベイズ『「今、ここ」に意識を集中する練習』高橋由紀子 訳 p17)
と述べています。
マインドフルネスとは今の瞬間に気づくこと
「瞑想」というと、どこか難しい印象を受けるかもしれませんが、いきなり心を長時間空っぽにすることは出来ません。また宗教を連想する必要もありません。ストレス対策として「マインドフルネス瞑想」を行うことは、今の瞬間に気づくためのトレーニングだと捉えれば良いのです。
このことに関して、例えばヨガ・瞑想講師の吉田昌生氏は『1分間瞑想法』のなかで以下のように述べています。
瞑想と聞くと、多くの人が「『無』にならなければならない」と思うようですが、必ずしもそうではありません。
マインドフルネスの目的は「気づく」ことです。
「気づき」が連続することで「無」になることはありますが、「無」になることが目的ではありません。雑念が湧いても、それに気づいて、再び集中すればいいのです。
瞑想で大切なことは、次の2つです。
- 感覚に集中すること
- 集中に途切れたことに気づくこと
(吉田昌生『1分間瞑想法』p54)
実際にマインドフルネス瞑想を始めてみると、すぐに今の瞬間に集中することが出来ず、「雑念」が浮かんできてしまうと思いますが、「雑念」が浮かんできてしまうことは決して悪いことではありません。初めの頃は誰でもそうなので、自分を責めることは避け、浮かんで来た雑念を対象化(観察)できるよう、日々、トレーニングを続けてみましょう。
まず注意を向けること、そこから注意がそれたら戻すこと、この繰り返しによって、脳が鍛えられていきます。
このトレーニングを繰り返すことで、脳が普段働いていないところに血液を送り込み、低下していた機能を取り戻すことができます。
だから、雑念が湧いてもいいのです。
雑念が湧いたことに「気づく」ことで、それが「負荷」になって、脳が鍛えられていると捉えてください。(吉田昌生『1分間瞑想法』p55)
まずは1分間のマインドフルネス瞑想でストレス対策
マインドフルネス瞑想で大切なのは、出来事や物事に対して、自分の見方で判断したり評価したりせず、あるがままを受け入れることと、今起きていることに「気づく」ことです。
ちなみにストレスによる心身へのダメージは、ストレスへの捉え方によって変わってきます。たとえばミスをして会社の上司に叱られたという出来事ひとつとってみても、その出来事を客観的に捉えて、二度と失敗しないよう分析する人もいれば、主観的に捉えて自分の過ちをひたすら責めることも出来ます。
つまりストレスは、ストレスのきっかけになった出来事や物事をどう捉えるかによって、影響が変わってくるのです。
そのため腸内環境の改善に加えて、ストレスの感じ方を変えるためのトレーニングだと思ってマインドフルネス瞑想を繰り返し、毎日の習慣にしていくことは、ストレス対策としておすすめなのです。
実際にマインドフルネス瞑想を試す際は、いきなり10~20分間瞑想をしようとしてもなかなか続かないため、まずは1分間瞑想が続くようにチャレンジしてみてください。
背筋を気持ちよく伸ばして座り、目を閉じたら、呼吸に意識を向けてみます。
そして、呼吸を行なっている間、まずは1分間、鼻の辺りに感じる気息の出入りを感じたり、呼気と吸気の感覚を観察したりしてみてください。また頭の中であれこれと考えるのを止め、シンプルな感覚でお腹のふくらみやちぢみの様子も観察してみましょう。
もし1分経たないうちに頭に雑念が浮かんでしまったら、雑念が浮かんだことに気づき、再び1分間、呼吸の観察を続けるようにしてください。
また、前述しましたが、雑念が浮かんでくるのは当然ですので、すぐに雑念が浮かんでしまっても、自分を責める必要は全くありません。たとえ雑念が浮かんでも、雑念が浮かんだということに自分で気づくよう心がければ、そのことがマインドフルネスのトレーニングになるのです。
もし慣れてきたら屋外で肌に吹きつける風の感触や、鳥の鳴き声といった様々な音などに気づいてみるようにすることも、マインドフルネスのトレーニングになります。
そのほか、マインドフルネス瞑想を日常生活に採り入れることは、うつやアトピーに悩んでいる方にも、ストレスを減らすことによる症状緩和のために効果的だと考えられます。
腸は冷やすのではなく温めることが大切
当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べています。
これまでの記事では主に、ストレス対策は、腸の健康を保つことから始まるということについて書いてきましたが、今回は「腸は冷やすのではなく温めることが大切である」ということについて述べていきたいと思います。
毎日暑いとどうしても冷たい飲みものをたくさん飲んでしまったり、冷房がきいた部屋にずっと居続けたりしてしまいます。
しかし「腸」の健康を維持することによってストレス対策を行うためには、夏場の慢性的な「冷え」に気をつける必要があります。
なぜなら冷たい物や冷房によってお腹(腸)を冷やしすぎることは、便秘や腹痛などの原因になるとされているからです。
また腸の専門家である松生恒夫氏は『腸はぜったい冷やすな!』のなかで、「冷え」に慢性的にさらされると、自律神経の働きが乱れ、頭痛やめまい、不眠や疲労感など、様々な症状があらわれてくると述べています。
健康な人は、たとえ一時的に体が冷えても、温かい部屋に入り、あるいは衣類を着用して体が温まればまもなく改善します。
これは冷えのために収縮していた血管が拡張し、血流がよくなるためです。逆に暑いときには、汗を出して熱を放出し、体温を下げようとします。
このように、体にはもともと寒さや暑さに対応できる体温調節機能が備わっているのですが、現代人はこの機能に何らかの障害が起き、慢性的な冷え性から体調を崩している人が実に多く見られます。
この体温調節機能は、自律神経によってコントロールされています。正常な状態では、日中は交感神経優位で体温は上昇傾向なのですが、夜間は副交感神経となり、体温は低下傾向になります。(松生恒夫『腸はぜったい冷やすな!』p17~18)
問題なのは、冷えに慢性的にさらされることです。この状態が続くと自律神経の働きが乱れ、さまざまな症状が現れるのです。
自律神経の不調で交感神経が強く働き過ぎると、心拍数が増加し、動悸や息切れが起こるようになります。
また、末梢の血管が収縮して血圧が上がり、頭痛や不眠を引き起こします。
逆に副交感神経が強く働くと心臓の鼓動の間隔が長くなり、末梢の血管が拡張することで血圧が低くなって、めまいや疲労感が強く現れることがあります。
このように、冷えによって、さまざまな病態が生じるのです。
(松生恒夫『腸はぜったい冷やすな!』p18)
夏の冷えに要注意
また、猛暑の日に冷房が効いた室内と外を行き来するなど、寒暖の差が激しい場合には特にからだは冷えやすく、腸の運動を低下させやすいと言います。
松生恒夫氏はこのことを「気温差一〇℃の法則」と呼び、「寒暖の変化は、ある意味で身体的ストレスであり、体や腸を冷やすことで、停滞便や便秘を引き起こすことにつながる」と『腸に悪い14の習慣』のなかで述べています。
したがって腸やからだの健康を維持するには、エアコンの温度設定に気をつけ、部屋の温度を下げ過ぎないようにすることで、外気温との温度差を小さくすることが重要になってきます。
それに加えて、特に夏は、暑いからといってよく冷えた清涼飲料水・スポーツドリンクを飲みすぎることは控えた方が良いように思われます。
冷えた清涼飲料水・スポーツドリンクはお腹を冷やす原因になるだけではなく、市販の清涼飲料水は砂糖や異性化糖など血糖値を急激に上げる糖質が多く含まれているため、血糖値が上がることでインスリンが分泌され、今度は低血糖に陥って無性に糖分を摂りたくなるなど、血糖値のコントロールが難しくなります。
そのように血糖値が乱高下することは、イライラや不安感を引き起こしやすくなります。
そのため、夏場のこまめな水分補給に適しているのは、清涼飲料水ではなく、ぬるめのミネラルウォーターか麦茶などのお茶類が好ましいと思われます。
また汗を大量にかいた場合や熱中症対策には、塩分の補給も大切ですが、その際は、中身が塩化ナトリウムだけの「食塩」ではなく、ミネラルバランスが整った自然塩を摂ったほうが良いです。
腸の働きを良くするには副交感神経が大切
当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べていますが、今回は「腸の働きを良くするには副交感神経が大切」であるということについて書いていきたいと思います。
これまでの記事では、乳酸菌やビフィズス菌が含まれた「プロバイオティクス」を中心にして、腸内細菌のバランスを整えることがストレス対策につながるということについて述べてきました。
しかしストレス対策のためにはただ乳酸菌などの有用菌を摂取することだけではなく、自律神経のバランスを整えることも大切になってきます。
ちなみに自律神経は交感神経と副交感神経から成っており、血管に巻き付くようにして全身に張り巡らされているもので、アクティブな状態になったり、興奮したり緊張したりすると交感神経が優位になるといわれています。一方休息したり、リラックスしたりすると、副交感神経のほうが優位になると言われています。
健康的な生活を送るためには、この交感神経と副交感神経がバランスよく活動していることが大切だといわれていますが、ストレスが多いと、どうしても交感神経のほうが優位になってしまいます。
しかし交感神経ばかりが優位になってしまうと、腸は蠕動(ぜんどう)運動を鈍らせてしまうのです。
なぜなら腸は「腸神経叢」と「自律神経(交感神経・副交感神経)」という腸自体に存在する二つの神経によってコントロールされていますが、腸に限っては車のアクセルのような働きをするのは副交感神経であり、交感神経は腸の運動のブレーキ役を果たしているからです。
つまり、長期間、過度のストレスにさらされ続けてしまうと、腸の働きが抑えられ、便秘などの原因になってしまうのです。
また、余計にストレスを感じること自体が悪玉菌を増殖させることにつながっていってしまいますし、その状態に拍車がかかると、「うつ」や「過敏性腸症候群」などの問題も生じてきてしまいます。
したがって、腸の健康を維持するためには、普段から深呼吸などをしてリラックスを心がけたり、時々、気晴らしのためにただぼんやりと青空を眺めたり森林浴などを行ったりすることが必要なのです。
ちなみに手っ取り早く副交感神経を優位にする方法は、リラックスしながら、「ふーぅっ」と、お腹を背中の方に押し込むようにして、なるべく長く(出来れば20秒間)、息を吐き続ける呼吸を行うことです。