うつと副腎疲労、慢性炎症の関係とは?
当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べていますが、今回は「うつと副腎疲労、慢性炎症の関係」について書いていきたいと思います。
前回の記事では長期的なストレスによって起こる「副腎疲労症候群」と「慢性炎症」の関係について述べましたが、「副腎疲労症候群」と「慢性炎症」は、「うつ」の症状とも深く関わってきます。
特に「副腎疲労症候群」になると、イライラや不安感が募ったり、朝に目が覚めても布団から起き上がれなくなったりするなど、非常に「うつ病」に近い症状が出てくるとされています。
例えば、医学博士である本間龍介氏は『「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい』のなかで、以下のように述べています。
副腎(アドレナル)は「ストレスの腺」と称されていて、私たちの心身に降りかかるストレス、そのすべてに対してあまねく反応しています。
そんな副腎の機能が低下すればするほど、心身の疲労が強まり、慢性疲労が色濃く現れるのです。そして、重篤な副腎疲労になると、いよいよベッドから出られなくなったり、イライラや不安感がつのる、気がふさぐなど、うつ病にきわめてよく似た症状を呈するのです。
副腎の疲労度は、ストレスの大きさによって左右されます。たとえば、愛する人の死や、深刻な病気やケガ、暴力、いじめなど、こうした不幸な出来事は、副腎に非常に大きなダメージを与えます。
それだけではなく、仕事への不満、プレッシャー、職場の人間関係、長時間労働、家族との口論、育児、介護、睡眠不足、運動不足など、日常に潜むストレスの数々も、多かれ少なかれ副腎に負担をかけます。
つまり、こうしたストレスの積み重ねが副腎に疲労を蓄積させて、これといった原因のわからないだるさや疲れ、さらには心身のさまざまな不調を呼び込んでしまうのです。
(『「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい 9割の医者が知らないストレス社会の新病』本間良子 監修 本間龍介 著 p3~4)
また、高度情報化によってもたらされたストレス社会においては、誰しもが副腎疲労に陥る可能性があり、特に生真面目なタイプや頑張り屋さんのタイプの方は、要注意だと言います。
高度情報化社会と言われ、めまぐるしく変化する世の中にあって、十分な休息やリラックスタイムを持てない人も多いでしょう。さらには、ストレスフル社会とも呼ばれる昨今、年齢や性別を問わず、誰しもが副腎疲労に陥る可能性は大いにありうるのです。
また、性格的には、真面目な人、頑張り屋、完璧主義者、感情をあらわにできないタイプの人などは要注意。そういう意味でも、日本人は副腎疲労を招きやすいタイプと言えるでしょう。
(『「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい 9割の医者が知らないストレス社会の新病』本間良子 監修 本間龍介 著 p4~5)
慢性炎症とうつの関係とは?
もし長期的なストレスによって副腎が疲労してしまうと、炎症を抑える働きがあるコルチゾールが分泌されなくなるため、体内では慢性的な炎症が起きてしまうと考えられます。
コルチゾールには細胞をストレスから守り、元気にする働きがあります。免疫機能や血圧、血糖値の調整、水分やエネルギーの代謝に、塩分のコントロール、脂肪の分解、アレルギー症状を抑える抗炎症作用など非常に多くの役割を担っているため、コルチゾールの分泌量に異常が生じると、身体のありとあらゆる部分に不調をきたすのです。(藤森徹也『副腎疲労症候群』p34~35)
そして、コルチゾールの不足と関係している「慢性炎症」が実は、「うつ」を引き起こす原因になっていると指摘するのは、精神科医の最上悠氏です。
最上悠氏の著作である『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』によれば、心理ストレスが与えられると、炎症を起こせと命令する炎症伝令物質が増加し、炎症を促進するのだといいます。しかし、そのブレーキ役として、ストレスホルモンや迷走神経が炎症を抑えようとするのですが、「それでも抑えきれないとき、ジリジリダラダラとした慢性炎症が起こる」のだそうです。
慢性炎症は、ほとんどの場合、痛みなどを感じることがなく、外から見てわかるような症状もあまりありません。
しかし、専門家が顕微鏡で体の組織をていねいに見たり、特殊な血液検査を行ったりしていくと、かすかな炎症反応が確認されます。とくに、脳で起こるものは〝ミクロの慢性炎症〟とよばれ、かなり精密な検査を行っても発見しにくいといわれています。
そして、そのぐらい微弱なものだとしても、炎症がジリジリダラダラと続けば脳や体は確実に疲弊し、蝕まれます。洞窟にしたたる水滴が長い歳月をかけて硬い岩に穴を開けていくように、慢性炎症の蓄積は心身にさまざまなダメージをもたらすのです。
脳の慢性炎症は、心理ストレスがあるときに起こりやすいことがわかっています。(最上悠『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』p57)
分かりやすくいえば、慢性的な心理ストレスが原因で炎症が長引いてしまうと、炎症の火消し役のストレスホルモンや迷走神経の働きが鈍くなってしまうということです。
先ほどの副腎疲労の問題と照らし合わせると、慢性炎症が先か、副腎疲労が先か、ということになってきますが、むしろそのことよりも、心理ストレスが原因で、副腎疲労や慢性炎症が起こってしまうことが問題であるように思います。
慢性的なストレス
↓
腸内細菌のバランスの乱れ
↓
細菌などの異物の侵入
↓
体内の慢性炎症
↓
副腎のコルチゾールの分泌量の増加
↓
副腎疲労症候群
慢性炎症を改善するには?
それではまず、慢性炎症を改善するにはどうすれば良いのでしょうか?
最上悠氏は『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』のなかで、
- 「脳や体で起きている慢性炎症を抑える」
- 「慢性炎症の原因となる心理ストレスを減らす」
ことが大切だとしています。
また、「慢性炎症を改善するための、〝抗炎症のライフスタイル〟」として、「食事」と「運動」というふたつの切り口を挙げています。
「食事」に関しては、ビタミンCやビタミンEを中心にビタミン類をバランスよく摂ることや、ファイトケミカル・ポリフェノールなど、抗酸化作用がある栄養成分が多く含まれた野菜類を多めに摂ることが炎症を防ぐことにつながっていきます。
さらに、脂質に関しては、必須脂肪酸のうちのオメガ3脂肪酸には炎症を抑える効果があるとされていますので、日頃からオメガ3脂肪酸が多く含まれている食材を摂るようにすることも慢性的な炎症対策には大切になってきます。
「運動」に関しては、一般的に1日に30分程度、軽いジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を行うことは、炎症を抑えるのに効果的だとされています。よく運動はストレス解消に最適だといわれますが、ストレスがなくなるということは、からだで起こっている慢性的な炎症が抑えられるということでもあるのです。
副腎疲労を解消するには?
また、「副腎疲労」を解消する方法についても、基本的には慢性炎症を抑えるためのライフスタイルとほぼ同じですが、本間龍介氏は『「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい』のなかで、食品添加物やアルコール、カフェイン、トランス脂肪酸などの摂り過ぎに気をつけるよう注意を促しています。
さらに
副腎疲労の治療には順番も大事で、腸からスタートして、肝臓、内分泌系・・・・・・と順番に行うのが基本です。
腸から始めるのは、腸には異物が入ってくる入口であり、ストレスの入り口とも捉えられるからです。また、腸は炎症も起きやすく、副腎疲労とも深く関わってきます。
(『「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい』 本間龍介 著 p71~72)
と述べ、プロバイオティクスによる腸内環境の改善の有効性についても触れています。
以上、ここまで「うつと副腎疲労、慢性炎症の関係」について書いてきましたが、うつの症状を少しでも改善していくためには、体内で慢性炎症が起こらないよう、副腎をケアすると共に、副腎がコルチゾールを分泌しなくて済むよう、ストレス対策を行うことが重要だと思われます。
そして、そのストレス対策として有効なのは、腸内環境の改善だと思われます。また、食事以外では有酸素運動や呼吸法・瞑想法などもストレス対策として効果を発揮してくれると思われます。