乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果で慢性炎症・うつ・アトピー改善

ストレス対策には乳酸菌・腸内細菌が効果的です。またキラーストレス対策は慢性炎症・うつ・アトピー性皮膚炎を改善するために大切です。

ストレスによる副腎疲労症候群と慢性炎症の関係とは?

当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べていますが、今回は「ストレスによる副腎疲労症候群と慢性炎症の関係」について書いていきたいと思います。

 

前回の記事では「慢性炎症」について述べましたが、体や脳で起こる「慢性炎症」とは、異物によって体内で起こる火事のようなものであり、何となくイライラしたり、調子が悪かったり、元気が出なかったりすることと関係しています。また、心理的ストレスが関係してくるうつやアトピーなどの原因にもなっていると思われます。

 

そしてこの「慢性炎症」に関係が深いのは、「副腎疲労症候群」だと考えられます。

 

この「副腎疲労症候群」とはどういったものでしょうか? 「副腎疲労症候群」になると、うつ病のような症状になるとされていますが、この「副腎疲労症候群」については、藤森徹也氏が『副腎疲労症候群』のなかで簡潔に説明していますので、引用してみたいと思います。

 

 副腎疲労症候群は、文字通り副腎が疲れてしまう病気です。副腎とは、左右の腎臓の上部に覆いかぶさるようにある臓器で、多種のホルモンを分泌する内分泌器官です。副腎からは生命の維持にとって極めて重要な数々のホルモンが分泌されているため、副腎が正常に機能するか否かは、生命そのものに関わります。慢性的な疲労に悩み、病院の検査では異常なしと診断され、うつ病の治療をしても症状が改善しないという場合、数々のホルモンのなかでも特に注目したいのは、「コルチゾール」という副腎皮質ホルモンです。(藤森徹也『副腎疲労症候群』p17

 

 

また副腎が分泌するストレスホルモンである「コルチゾール」については以下のように述べています。

 

 コルチゾールは「ストレスホルモン」とも呼ばれ、身体にストレスがかかると分泌されるホルモンです。ストレスへの耐久力や回復力を増加させ、主に体調を保つ役割を担っています。このコルチゾールが適量分泌されることで、私たちの身体は日々のストレスから守られているのです。(藤森徹也『副腎疲労症候群』p17)

 

 コルチゾールには細胞をストレスから守り、元気にする働きがあります。免疫機能や血圧、血糖値の調整、水分やエネルギーの代謝に、塩分のコントロール、脂肪の分解、アレルギー症状を抑える抗炎症作用など非常に多くの役割を担っているため、コルチゾールの分泌量に異常が生じると、身体のありとあらゆる部分に不調をきたすのです。(藤森徹也『副腎疲労症候群』p34~35)

 

副腎疲労症候群

 

副腎が疲労すると慢性炎症が続く

藤森氏が「アレルギー症状を抑える抗炎症作用など非常に多くの役割を担っているため、コルチゾールの分泌量に異常が生じると、身体のありとあらゆる部分に不調をきたす」と述べているように、コルチゾールなどのホルモンを分泌する副腎が、長期的なストレスによって疲れてしまうと、抗炎症作用のあるコルチゾールがうまく分泌されなくなり、結果的に慢性炎症が起こってくると考えられます。

 

そしてこの慢性炎症はうつ病アトピー性皮膚炎とも関係していると考えられます。そのため、うつやアトピーといった症状を防いだり、改善したりするためには、ストレス対策を行って副腎の疲労を解消することが大切になってきます。

 

慢性的なストレス

  ↓

腸内細菌のバランスの乱れ

  ↓

細菌などの異物の侵入

  ↓

体内の慢性炎症

  ↓

副腎のコルチゾールの分泌量の増加

  ↓

副腎疲労症候群

 

副腎疲労と慢性炎症の対策には腸内細菌と腸内環境

そのストレス対策には、有酸素運動を行ったり、深呼吸をして副交感神経を優位にしたり、よく笑ったりするなど、様々な方法がありますが、それらの方法以外に、腸内細菌のバランスを整えたり、腸内環境を改善したりすることも実は大切です。

体内の慢性炎症は腸内細菌のバランスの乱れや腸内環境の悪化によってもたらされるため、普段から腸管粘膜や腸内細菌のバリア機能を高めることによって、異物が体内に侵入しないようにする必要があるのです。

実際、乳酸菌やビフィズス菌などの有用菌が含まれている「プロバイオティクス」の投与によって、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が低下したという報告もあります。そのあたりのことに関しては、以下の記事を参照していただきたいと思いますが、副腎疲労と慢性炎症を防ぐためには、ストレス対策として、腸内環境の改善が重要なのです。

 

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 また、副腎疲労や慢性炎症の問題は「キラーストレス」とも関係してきます。

 

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ストレスが原因で起こる慢性炎症とは?

当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べていますが、今回は「ストレスが原因で起こる慢性炎症」について書いていきたいと思います。

 

では慢性炎症について述べる前に、そもそも「炎症」とは何でしょうか?

「炎症」とは分かりやすく言えば、何らかのきっかけでカラダに生じたダメージに対する反応のことです。細胞やウイルスが侵入したり、切り傷を負ったりして炎症が起きた体の部位は、腫れや痛み、発熱などが起こりますが、私たちの体内に備わっている免疫システムがすみやかに対応してくれます。

ちなみに風邪による発熱や切り傷、火傷などによって起こる炎症は、一般的に「急性炎症」と呼ばれています。しかしその「急性炎症」とは別に、だらだらと続いてしまう「慢性炎症」があるのです。

 

 慢性炎症は、ほとんどの場合、痛みなどを感じることがなく、外から見てわかるような症状もあまりありません。

 しかし、専門家が顕微鏡で体の組織をていねいに見たり、特殊な血液検査を行ったりしていくと、かすかな炎症反応が確認されます。とくに、脳で起こるものは〝ミクロの慢性炎症〟とよばれ、かなり精密な検査を行っても発見しにくいといわれています。

 そして、そのぐらい微弱なものだとしても、炎症がジリジリダラダラと続けば脳や体は確実に疲弊し、蝕まれます。洞窟にしたたる水滴が長い歳月をかけて硬い岩に穴を開けていくように、慢性炎症の蓄積は心身にさまざまなダメージをもたらすのです。

 脳の慢性炎症は、心理ストレスがあるときに起こりやすいことがわかっています。(最上悠『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』p57

 

この慢性炎症については、あまり知られていないかもしれませんが、身体だけではなく脳でも起こります。

そして、この慢性炎症は生活習慣病や、ストレスが関係してくるうつやアトピーなどの原因になっていると考えられます。何となくイライラしたり、調子が悪かったり、元気が出なかったりするのも、この慢性炎症が関係していると思われます。

 

 最近の医学は、環境中の「免疫かく乱物質」が私たちの体内に軽い「慢性炎症」を引き起こし、生活習慣病を作り出している、ということを明らかにしています。この慢性炎症は、くすぶり型の軽い炎症で、動脈硬化、肥満、糖尿病などの原因となる「代謝炎症」あるいは「自然炎症」、がんやうつ病を引き起こす炎症、老化に伴って進行する「加齢炎症」などを包括する新しい概念です。(金子義保『炎症は万病の元 生活習慣病の真実、医療の現実』p2

 

金子義保『炎症は万病の元 生活習慣病の真実、医療の現実』

 

またストレスホルモンの「コルチゾール」が分泌され続けることで、副腎が疲れてしまう「副腎疲労」や「慢性疲労症候群」、対処しないと命に関わる「キラーストレス」なども、慢性炎症が関わっています。

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このことに関して、精神科医の最上悠氏は『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』のなかで、「脳の慢性炎症は、心理ストレスがあるときに起こりやすいことがわかっています」と述べていますが、うつやアトピーの症状と心理ストレスの背景には、この慢性炎症があるのです。

 

「脳の炎症」を防げばうつは治せる

最上悠『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』 永岡書店

 

慢性炎症を防ぐには運動と食事

では、脳と体の慢性炎症を改善するにはどうすれば良いのでしょうか?

最上悠氏は『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』のなかで、

  1. 「脳や体で起きている慢性炎症を抑える」
  2. 「慢性炎症の原因となる心理ストレスを減らす」

ことが大切だとしています。

また、「慢性炎症を改善するための、〝抗炎症のライフスタイル〟」として、「運動」と「食事」というふたつの切り口を挙げています。

「運動」に関しては、一般的に1日に30分程度、軽いジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を行うことは、炎症を抑えるのに効果的だとされています。よく運動はストレス解消に最適だといわれますが、ストレスがなくなるということは、からだで起こっている慢性的な炎症が抑えられるということでもあるのです。

「食事」に関しては、ビタミンCやビタミンEを中心にビタミン類をバランスよく摂ることや、ファイトケミカルポリフェノールなど、抗酸化作用がある栄養成分が多く含まれた野菜類を多めに摂ることが炎症を防ぐことにつながっていきます。

さらに、脂質に関しては、必須脂肪酸のうちのオメガ3脂肪酸には炎症を抑える効果があるとされていますので、日頃からオメガ3脂肪酸が多く含まれている食材を摂るようにすることも慢性的な炎症対策には大切になってきます。

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腸内環境を改善して腸内細菌のバランスを整える

それに加えて、腸内環境を改善することも、ストレスによる炎症を防ぐためには、必要になってきます。なぜならストレスによって腸内細菌のバランスが乱れると、その分、腸内細菌のバリアが弱くなることで細菌などの異物が体内に侵入しやすくなり、炎症が起きやすくなってしまうからです。

そのため、日頃から乳酸菌をはじめとした有用菌が含まれた「プロバイオティクス」と呼ばれた食品や、腸内細菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖などが含まれた「プレバイオティクス」を摂るようにすることで、腸内細菌のバランスを整えることが、ストレスによる炎症を防ぐことにつながります。

 

慢性的なストレス

  ↓

腸内細菌のバランスの乱れ

  ↓

細菌などの異物の侵入

  ↓

体内の慢性炎症

 

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キラーストレスとは何か?

当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べていますが、今回は「キラーストレスとは何か?」ということについて書いていきたいと思います。

 

キラーストレス」は、NHKの番組で知られるようになった言葉ですが、キラーストレスとは分かりやすく言えば、様々なストレスが慢性的に続いたり、重なったりすることで多くの病気をもたらし、下手をすれば命の危険にまで及んでしまうストレスのことです。

もちろん、程よいストレスは、自分を成長させたり、免疫系を鍛えたりするために必要ですが、やはりストレスは多すぎると、がんやうつ、認知症など、様々な病気や老化の原因になってしまうのです。

またストレスが続くことは、体内での慢性炎症を引き起こす原因にもなると考えられています。

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キラーストレス

 

(以下はNHKのウェブサイトからの引用です)。

 

●キラーストレスとは

脳の扁桃体が不安や恐怖を感じると ストレス反応と言われる反応が始まります。
ストレスホルモンが分泌されたり自律神経が興奮したりします。そのために心拍数が増える、血圧が高くなるといった反応が起こります。これがストレス反応です。
一つ一つは小さくても、多くのストレスが重なると、キラーストレスともいうべき危険な状態に陥ります。

血管が破壊され、脳卒中心筋梗塞、大動脈破裂を引き起こします。
最新の研究では ストレス反応は、心臓の筋肉を流れる血液が減少し心不全を引き起こす、がんを悪化させる、体内に入った細菌を増やして血管の破壊を起こすなど、命に関わることがわかってきました。

 

●ストレスが関係する病

ストレスがかかると自律神経の興奮やストレスホルモンが過剰な状態に陥り、さまざまな病気を引き起こしたり悪化させたりします。

 

www.nhk.or.jp

キラーストレスへの対策とは?

このように、キラーストレスは様々な病気を引き起こす原因になるのですが、そのストレス対策として、番組では「マインドフルネス瞑想」や「コーピング」を紹介していました。

目に見えない「ストレス」に対しては、それぞれがどのように向き合っていくのかが大切であるように感じます。

なぜなら「ストレス」に対する感じ方は、人それぞれ違ってくるからです。特定の出来事に対して、楽観的に捉えることが出来る人もいれば、悲観的に考えてしまう人もいます。例えば、上司に叱られた時、そのお叱りが自分を成長させてくれると捉えることも出来れば、単に自分を否定されたと思うことも出来ます。

つまり、「ストレス」とされるものをどう捉えるかは、その人の「心」の持ち方次第なのです。

そしてその「心」は、「脳」だけではなく、幸せホルモンである「セロトニン」の大半を作るという働きなどもある「腸」からも影響を受けています。そのためストレス対策を腸や腸内細菌からアプローチしてみるのは有効だと思われるのです。具体的には腸内細菌のバランスを整えることで、過剰なストレスから身を守ることです。

 

 生物の系統発生から言うと、心臓と肺は魚の呼吸器官である「鰓」に起源を持っているといいます。そして、この鰓は腸から分化したものです。

 進化の系統樹をたどっていくと、私たち人間の直接の祖先にあたる初期の脊椎動物は、口から肛門へと続く一本の消化管、つまり腸だけで成り立っていたことがわかります。この段階ではまだ脳はありません。

 腸から心臓や肺のような内臓臓器が生まれ、腸壁の神経と体壁の神経が束ねられるようにして脳が生まれたと考えられています。

 心臓に心があるというなら、当然、その根源である腸にも心がある、すなわち「腸が心の起源である」ということになってきます。(長沼敬憲『腸脳力』p129

 

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ストレスで腸内細菌が減る理由

当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べています。

 

前回は「ストレスを受けた時の生体反応」について述べましたが、今回は「ストレスで腸内細菌が減る理由」について書きたいと思います。

 

私たちのからだは「ストレス」を感じると、副腎皮質や副腎髄質からコルチゾールやアドレナリンなどのホルモンが分泌され、ストレス反応に対処しようとします。

そしてこれらのホルモンは腸内細菌にも影響を与えると、医学博士の藤田紘一郎氏は述べています。

 

 ストレスを受けたときの生体反応は、緊急の場合とゆっくりの場合に分けられます。緊急時には血糖値を高めるアドレナリンを大量に分泌し、ゆっくりのときは副腎皮質から分泌されるホルモンの一種、コルチゾールの分泌量が増えます。その反応が敏感であるために、別名ストレスホルモンとも呼ばれています。そして、どちらのホルモンも腸内細菌に変化をもたらします。(藤田紘一郎『腸を鍛えればストレスは消える!』p65

 

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また藤田氏は「ストレスを受けるから腸内細菌が減るのか、腸内細菌が減ったからストレスでダメージを受けるのかは、鶏が先か卵が先かのようですが、両方とも事実です。ストレスに対して腸は敏感に反応しますし、腸内細菌が減少すれば、私たちはストレスをはね返すことができないはずです」としています。

 

ちなみに以前の記事でも述べましたが、何らかのストレスを受けると、腸が「カテコラミン」という物質を出し、大腸菌が病原性を高めながら増殖すると言います。

 

 ストレスを発散する、ストレスのもとになるもの(ストレッサー)をなくしたり、そこから離れたりするといった何らかの対処をしない限り、ストレスからの攻撃を受け続けて腸内バランスはガタガタになります。ストレスを受けると、腸が「カテコラミン」という神経伝達物質を放出し、大腸菌がその刺激を受けて、腸の一部で病原性を高めながら増殖することが明らかになっています。大腸菌以外の細菌でも、カテコラミンが病原性を高める作用が認められています。(藤田紘一郎『腸を鍛えればストレスは消える!』p97

 

普段の生活において「ストレス」を感じる際、私たちはどうしても頭でストレスを捉えがちです。しかし脳がストレスを「ストレス」だと認識する以前に、すでに「腸」がストレスを感じとり、そのことで腸内細菌のバランスが変化しているのではないでしょうか?

緊張したりプレッシャーを感じたりすると、人によっては急におなかが痛くなるのはそのことと関係しているように思えます。また、腸内細菌のバランスが悪玉菌優位になってしまうと、便秘やうつ、アトピーといった症状にもつながっていってしまいます。

 

そのため、これからの時代のストレス対策として大切になってくるのは、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌を増やすことによって腸内細菌のバランスを整えるのを習慣的に意識することなのです。

 

そしてそのことがストレスから自分を守るための秘訣なのです。

 

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ストレスを受けた時の生体反応とは?

 

当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べています。前回は「そもそもストレスとは何か?」ということについて書きましたが、今回は「ストレスを受けた時の生体反応」について述べていきたいと思います。

 

私たちのからだは「ストレス」を感じると、副腎皮質や副腎髄質からコルチゾールやアドレナリンが分泌され、エネルギーを高めることでストレス反応に対処しようとします。このことはストレスに対する生体の適応現象です。

 

ちなみのこの生体反応は、内分泌系と自律神経系に分かれます。大ざっぱにいえば、突然車が迫ってきて事故に遭いそうな時など、急な危機に遭遇した場合は「アドレナリン」というホルモンが、人間関係などでじわじわとストレスを感じる場合は、ストレスホルモンである「コルチゾール(コルチコイドの一種)」が分泌されてストレスに対処しようとします。

 

また、この二つのホルモンは腸内細菌にも影響を与えるといわれています。

 

ストレス反応の抵抗期の体内の反応

 

内分泌系

 

脳下垂体

 ↓

副腎皮質刺激ホルモン

 ↓

コルチコイド

 ↓

体細胞

 

 

自律神経系

 

自律神経

 ↓

副腎髄質

 ↓

アドレナリン

 ↓

体細胞

 

ストレスとはなんだろう

参考 杉晴夫『ストレスとはなんだろう』 講談社ブルーバックス

 

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ストレスホルモン「コルチゾール

特にアトピーやうつなどの病気を予防していくために大切になってくるのは、ストレスを感じた際に副腎皮質から分泌されるホルモンである「コルチゾール」です。この「コルチゾール」には、ストレスが原因で体内に引き起こされた炎症を抑える働きがあります。つまり、アトピーになった時に処方される外用薬である「ステロイド剤」と同じ働きをしてくれます。

 

この「コルチゾール」が問題なく副腎から分泌されれば、体内の炎症は抑えられるのですが、ストレスが慢性的に続いてしまうと、副腎はコルチゾールを分泌し続けなければならないので、副腎は次第に疲れてきてしまいます。そしてなかなかコルチゾールを作れなくなってきます。このような事態は、近年、「副腎疲労」として問題になっています。

 

そのため、副腎が過剰なコルチゾールを分泌しなくても良いようにストレスから自分を守るかが、対策として大切になってきます。

そしてそのストレスの影響は腸内環境や腸内細菌のバランスによっても左右されるため、これからのストレス対策は腸内環境や腸内細菌に着目することが重要になってくると考えられるのです。

 

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そもそもストレスとは何か?

当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べていますが、今回は「そもそもストレスとは何か?」ということについて書いていきたいと思います。

日頃、私たちは「ストレス」という言葉を頻繁に使っていますが、そもそもストレスとは何でしょうか?

ストレスとは分かりやすく言えば、外側からかけられた圧力によって、私たちの生体にひずみやゆがみが与えられることです。

そのため、ストレス自体は悪いものではないのですし、ストレスは歩く道がでこぼこしているのと同じように、長い人生を生きていくうえで避けて通れないものなのです。

 

 ストレスとは本来、物理学の分野で使われていた用語です。「物体の外側からかけられた圧力によってゆがみが生じた状態」を示します。外側からかけられた圧力に適応しようとして、心や体に生じたさまざまな反応をストレス反応というわけです。

 ストレスといっても悪いものばかりではありません。ストレスという適度な圧力や刺激は、心や体に有益です。(藤田紘一郎『腸を鍛えればストレスは消える!』p5

 

また、からだがストレスを感じると、副腎皮質や副腎髄質からコルチゾールやアドレナリンが分泌され、ストレス反応に対処しようとします。このことはストレスに対する生体の適応現象です。

 

しかし私たちが生きていくうえで問題になってくるのは、人間関係や過剰労働などによって必要以上にストレスを感じてしまうことです。また、現代社会は電磁波や食品添加物、化学物質など、からだがストレスだと感じるものが増えてきています。

 

 その一方で、ストレスを放っておいたり過剰なストレス状態に置かれていると、心身に多大な悪影響を及ぼし、重大疾患を招くリスクが高まります。どんな人にも必ず存在するストレスをうまく解消したり、ストレスがかかりにくい心と体をつくっていく必要があるわけです。(藤田紘一郎『腸を鍛えればストレスは消える!』p5

 

腸を鍛えればストレスは消える

大切なのはストレスとの向き合い方

もちろん、ストレスの感じ方には個人差があります。心(メンタル)の持ち方によって、ストレスによる身体への影響は変わってきます。そのため、ストレスによって病気にならないためには、ストレスとの向き合い方が非常に大事なのです。

しかし誰もがストレスをはねのけられるような強いメンタルの持ち主だとは限りません。特に優しい性格の方ほど、(決して悪い意味ではなく)ストレスに敏感であるよう思います。

そのため当ブログではこれからの時代のストレス対策として、いきなりメンタル面を変えるのではなく、最初に腸内環境を変えることをオススメしています。

実際、腸内に生息する腸内細菌のバランスが整うと、ストレスにも耐性ができるという報告があります。一方、ストレスを感じると、悪玉菌が増殖するといわれており、そのことが病気のきっかけになるともいいます。

詳しくは以下の記事を参照していただきたいと思いますが、ストレスを感じることが多い社会でのストレス対策として乳酸菌を日頃から摂取することはお勧めなのです。

 

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ちなみに誰もがよく口にしたり、聞いたりするこの「ストレス」という言葉は、カナダのハンス・セリエという科学者が1930年代に提唱した「ストレス学説」から来ています。

 

 セリエは当初「ストレス」という言葉を、動物に加えられる有害作用(種々の物質の注入など)そのものを指すのに使用しようとしたが、後に考えを変えて、有害作用によって引き起こされる状態、つまり肥大した副腎皮質、萎縮したリンパ組織、潰瘍を起こした胃腸壁などを「ストレス状態にある」と考え、これらの状態をストレスと呼ぶことにした。一方、これらの組織のストレス状態を作り出す作用を「ストレッサー」と呼んだ。(杉晴夫『ストレスとはなんだろう』p91

 

杉晴夫『ストレスとはなんだろう』

腸の善玉菌にとってストレスが大敵なわけ

当ブログでは乳酸菌と腸内細菌のストレス対策効果は慢性炎症・うつ・アトピーを改善するのにオススメである理由について述べていますが、今回は「腸の善玉菌にとってストレスが大敵なわけ」について書いていきたいと思います。

 

適度なストレスは生きていくために必要だとされていますが、過度のストレスは、腸にとって大敵です。なぜなら、過度のストレスは腸内細菌のバランスを崩すきっかけになってしまうからです。またこのストレスによる腸内細菌のバランスの乱れは、近年、急増している「過敏性腸症候群」などにもつながっていってしまいます。

 

極度に緊張したり不安を感じたり、自分にとって苦手な人に会ったりすると、急にお腹が痛くなるという経験をしたことがある方は多いと思います。

「嫌だな」と思うには「脳」ですが、実はそれ以前に、「腸」がストレスを感じ、その情報を脳に送り込んでいるのです。そのため、「あたま」よりも先に「おなか」がストレスを敏感に感じ取っているのです。

ちなみにストレスを受けると、腸が「カテコラミン」という物質を出し、大腸菌が病原性を高めながら増殖すると言います。「ストレスは万病の元」といわれますが、その理由は、この「カテコラミン」が深く関係していそうです。

 

 ストレスを発散する、ストレスのもとになるもの(ストレッサー)をなくしたり、そこから離れたりするといった何らかの対処をしない限り、ストレスからの攻撃を受け続けて腸内バランスはガタガタになります。ストレスを受けると、腸が「カテコラミン」という神経伝達物質を放出し、大腸菌がその刺激を受けて、腸の一部で病原性を高めながら増殖することが明らかになっています。大腸菌以外の細菌でも、カテコラミンが病原性を高める作用が認められています。(藤田紘一郎『腸を鍛えればストレスは消える!』p97

 

そのため、ストレス対策として大切なのは乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌を増やすことによって腸内細菌のバランスを整えることだと考えられます。

 

 腸内環境がよいということは腸内細菌がたくさん存在していて、善玉菌、悪玉菌、日和見菌といった腸内のバランスがとれている状態のことですが、ストレスが生じると、デリケートな善玉菌はすぐに減ってしまいます。(藤田紘一郎『腸を鍛えればストレスは消える!』p97

 

腸を鍛えればストレスは消える

 

ちなみに腸内細菌はただ闇雲に善玉菌だけを増やせば良いのではなく、善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランスを「2:1:7」に保つことが大切だといわれています。

そしてこのことは腸内環境を快適に保つための秘訣でもあるのです。

 

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